投資銀行が行う金融工学の理論に基づいた売買

投資銀行は、株式の引き受けやM&Aのマネジメントを行うだけでなく、株式市場などで自己勘定取引を行っています。投資銀行の社員が投資銀行の資本を使って株式や為替などに投資を行うのです。そこで猛威を振るっているのが金融工学という学問で証明された理論による機械的な売買です。
金融工学とは、株式や社債などの金融市場で起こる値動きを科学的に分析する学問です。その理論を使って統計的分析を行うと、例えば株式市場においてある銘柄が上昇すると同時に他のある銘柄も上昇するという相関関係を見つけるといったことができるのです。
そして、実際に売買を行うのは人間ではなく投資理論をプログラミングされたコンピューターです。金融工学の理論を使った有名な戦略である「ペアストラテジー」は、コンピューターの得意分野です。まず相関関係を持つ二つの銘柄を見つけ出します。相関関係がある銘柄でも、実際の相場では株価が同時に上下するのではなく一定の時間差があります。その時間差が発生した瞬間は、株価の相関にズレが生じるのです。そして、市場でどちらか一方の株価が上昇したとき、そのタイミングを狙ってもう一方の株式を大量に買うのです。ある程度の時間が経つと買った銘柄が相関関係の理論通りに上昇するため、莫大な利益を得ることになります。この一連の取引を、コンピューターは自動で行ってくれるのです。
これは、理論によって相関関係が証明されていることで実行できる取引です。ポイントとなるのは二つの銘柄が上昇するタイミングの時間差ですが、コンピューターによる自動売買によってその時間差を逃すことなく株式を購入できるようになっています。
このような理論とコンピューターを用いた売買を、銀行は巨大な資本を使って行っているのです。